A10 環境にやさしいとはどういう事ですか?
環境問題がでると、石けんだけが環境にやさしいように言われていますが、そのようなことはありません。少し、詳しく解説します。
1 生分解性が良いこと
環境の微生物によって分解されやすい性質のことです。私達が使った水は多くの場合、下水道に流れ、そこで活性汚泥法と言う微生物による処理を受け、最終的には川また海に排出されます。
シャンプーは主成分が界面活性剤ですが、シャンプーに使われているものはほとんど脂肪酸をもとに作られていますので、生分解性については大きな差はありません。
石けんと同程度と考えて良いと思います。
洗浄成分以外の素材でも天然系の方が生分解性が良い傾向にありますので環境にやさしいと言えます。
天然系のものは生分解性が良いのは確かですが、そのために天然物を乱獲したのでは環境にやさしいとは言えません。
天然物と同じ化合物を化学合成、または微生物を使って合成して行くのが良いと思います。
2 付着性がないこと
石けんのように付着性のあるものは都市下水の配管に詰まり、大雨の時などの災害の原因の一つになることもあります。
その点、アミノ酸系の洗浄成分を使ったものは洗面器を見てお分りのように、付着が起こりにくい性質があります。その他の界面活性剤はその中間位です。
3 発がん性、変異原生がないこと
シャンプーの素材ではEDTA(エデト酸のこと)に変異原生の疑いがある程度です。
発がん性のデータの評価は難しいところがあって、ある時、発がん性ありと報告されても後日の試験では異なった結果が出ることもあります。(*1)
従って、一度でも報告が出たものは避ける姿勢は評価されますが、「あなたのバスルーム大丈夫ですか?」と脅かしの材料に使うのは感心しません。
一寸専門的になってしまいますが、管理を徹底することにより、化学物質による環境汚染を未然に防止するために設けられたPRTR法があります。ここにリストアップされたものは使わないというのは一つの考え方だと思います。
化粧品の素材としてはエデト酸など6品目が該当します。
4 高級感があること
最初に書きましたように、実際には環境への影響を考えると、これが最も大きいかも知れません。
安易にザブザブと使うか、少量大切に使うかによって環境への負荷が数倍変わることもあります。
- 参考資料
- *1 大矢 勝著 合成洗剤と環境問題 大学教育出版